アイデンティティスペクトラム【あなたはどこに当てはまる?】
今日は「自分って何なんだろう?」とか「性自認とか性指向とかよくわからない!」という人におすすめ、セクマイでない人でもパッと分かる、簡単なワザ(?)を教えちゃいます。
その名も、「アイデンティティスペクトラム」(そのまんまや!)
ええと、つまり、自分の自認をジェンダー、セクシュアリティにおいて大事な5つのカテゴリに当てはめたものです。
アイデンティティは自己の自認、スペクトラム(Spectrum)は「連続体、範囲」という意味でまぁグラデーションみたいなものと考えればいいです(´∇`*)
早くその代物を見せろや!という事で公開しちゃいます!
14.7.31 表を新しく差し変えました。
これだけじゃ何の事か分からないだろうから解説!
性のアイデンティティにはざっくり分けて、「生物学性」「性自認」「性役割」「恋愛指向」「性指向」の5つのカテゴリがあります。
どのカテゴリにも明確な境界線はありません。
1:生物学性(Biological Sex)これは文字通り、体の(染色体的な)性別です。
(14/7/31追記)染色体だけでなく、ホルモンバランスや内性器、骨格など他の部分も関係して身体的性別を決める、という考えもあります。
男(XY)と女(XX)が多数ですが、体の性別やホルモンバランスが曖昧なインターセックスと呼ばれる人たちも居ます。
その程度も本当に様々で、社会が作った「男」「女」の箱には詰められません。
2:性自認(Gender Identity)
自分の性別を何だと思うかの「自認」 自分の胸の奥深くで、自分は男性?女性?それともどっちでもない?と問いかけて出てくる答えです。
他の人の診断/客観性は必要無く、後述の性役割/表現ともまた別です。
生物学性と性自認が食い違っている人、をトランスジェンダー/トランスセクシュアル、GIDもしくはGD、FTM(女性→男性の場合)MTF(男性→女性)、Xジェンダーもしくは狭義のジェンダークィア(性自認が無性、中性、両性、不定‥の場合)などと呼びます。もちろんこれも様々で、例えば「男寄りの中性」などもいるので境界線は曖昧です。
3:性役割/表現(Gender Expression)
性自認の項では自分の内の自認について書きましたが、こちらは外への表現。
客観的に、「女性的」「男性的」もしくは「中性的」とされるかどうか。
髪型、ファッション、名前、一人称/三人称、言動、立ち振る舞い、職業など‥
例えば、髪を長くしてスカートを履いて一人称が「あたし」だと現代の、日本や米国などの近代社会では女性的なジェンダー表現と言えます。 スコットランドでは男性がキルトを纏うなど例外もありますので、あくまでも本人が生きている文化、社会に左右されます。
男らしさ、女らしさとして求められるのもこの性役割/表現です。
体(もしくは性自認)にならった性役割を期待され、多くの人がそれに沿う•沿おうとするため見落とされがちですが、性別、性自認と性役割は独立した違うカテゴリです。
例えば「FTMなら赤い服は着るな(男性的じゃないFTMはFTMじゃない)」と他人に強要するのは論理が通っていません。
ボーイッシュ(中性的、男性的)な服装が好きな女の子も居ますし、逆も然りです。
男性的でも中性的でも女性的でも、その人の性自認とは別です。
ちなみに広義のジェンダークィア、トランスジェンダーは、性自認と性役割/表現が(一般に期待されているものと)違う、という意味を示唆する事もあります。
(私がクィアFTMと名乗っているのもそういう意味)
4:恋愛指向(Romantic Orientation)
ここは自分の性別ではなく、相手の性別の話。
基本的に恋愛指向、性指向は自分の性自認とそろえて考えて下さい。(例:MTFで男性が恋愛指向の場合は異性愛者)
これは「好きになる相手の性別」です。「性愛」ではなく「恋愛感情」限定です。
両端に男性•女性、真ん中辺にバイ(両性愛)、パン(全性愛)のマークがあります。
下の方には恋愛感情を抱かないAセクシャル(無性愛)のマーク。
5:性指向(Sexual Orientation)
恋愛指向との違いは「性交渉をする(したい)相手」
恋愛指向と性指向は一致している方が多数ですが、中には「全性愛だけど男性とは性交渉できない」とか「性欲、性交渉欲が一切無い(逆も然り)」など、恋愛と性指向が違っている人も居ます。
恒常的に性的欲求を抱かないノンセクシャル(英語ではasexual)、ノンセクシャルとセクシャルの間のデミセクシャル(一定以上恋愛関係を結んで気持ちが高まらないと性行為が出来ない)など、様々です。
恋愛指向と性指向を分けて言いたい人は恋愛指向には「〜ロマンティック」性指向には「〜セクシャル」という言い方がおすすめです。
例:全性愛(恋愛)且つ非性愛(性)の場合は「パンロマンティック、ノンセクシャル(若しくはAセクシャル)」
本来この5つのカテゴリは相関関係はあるものの異なるカテゴリです。ただ、身体の(もしくは戸籍上の)性別•性自認•性役割を一致させ、かつ異性愛しか表に出さないのが男女二元論•へテロセクシズム(異性愛主義)という社会的抑圧。
それによっていろいろとごっちゃになって自分のアイデンティティを肯定出来なかったりして弊害も起こり得るわけです。
現に、自分もトランス初期は「男らしくないからFTMじゃない」とか言われたり、自分でも葛藤があって結構苦しみました(苦笑)他の色んな人と会ううちに知識も培っていけて「あっ、自分らしくいけばいいんだ」と思えるようになりました!
つ、ついてきてますかー?(;^ω^)
これは難しいセクシャリティやジェンダーを少し簡易化してくれるのでおすすめです!
友達やサークルの人とマークしていくと、一人一人違うということも表せるし。
んーとまあ、お手本がてらやってみますか!
14/7/31現在のものです。
生物学的性:XX生まれの女体だったが、胸を取ってホルモンバランス的には男性・でも骨格や内外性器はそのままなので、一応女性寄りなのかな?
性自認:男(FTM)
性役割:中性的なメンズファッションが好み、一人称は自分、僕、私、スポーツ苦手で絵や読書が好き、整理整頓も駄目(笑)、語学が得意‥などなど、総合的に考えてどっちつかず、またはどっちでもない感じかなーと‥性別を感じさせない外見や振る舞いが好き。でも一応世間一般的には男性の役割を担うので中性的な男性、に入るだろうと。
恋愛指向:基本パンロマンティック(全性愛)というか「その人が好き」状態。とりわけ中性的な人が好き。経験は女性を好きになった方が多いけど、今は女性らしい女性は好きになれないかなー‥と思ってる。
性指向:性交渉欲がすごくあるわけでもないけどデミセクというわけでも‥?な感じで、でも一般的な男性やFTMに比べれば低いのかもしれない。どちらかというと男体に萌える。
現物はお好きにプリントアウトでもしてやって下さい(´∇`*)
皆さんお気軽に使って下さい〜。これで少しでもモヤモヤや理解しにくさが晴れれば‥と思います。
